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Web制作時の撮影ディレクションについて

Web制作時の撮影ディレクションについて

Webデザイナーとして働き始めてもうすぐ20年近くになりますが、初めの数年はカメラマンに撮影を依頼するような体制ではなかったので、自分でカメラを覚え、カメラやレンズ、照明などある程度揃えました。(すべてではありませんが)自分で撮って、自分でサイトを作ることをやっていましたが、制作をスタッフに任せるようになるタイミングで写真撮影はプロのカメラマンに依頼するようになりました。ある案件で初めて依頼したカメラマンの写真に感動したのと、私が撮った写真だとスタッフも意見が言いづらいだろうなと思ったことが大きかったです。

その後、写真による効果が高いプロジェクトに関しては、撮影の提案を行った上でWebサイトの構築を行っております。今回は、撮影の提案から撮影当日の立ち会いまでを、おおまかに説明したいと思います。

撮影の提案

すべてのプロジェクトでスチール撮影・動画撮影が必要ということではありませんが、下記に照らし合わせて撮影の提案を行います。

  • Webサイトの目的達成のために写真が重要な位置を占める
  • クライアントで現在所有している(使用している)写真が不足している or 難がある
  • ストックの画像では代用できない
  • 撮りたいシーン、イメージが浮かんだ

Webサイトの制作費以外の費用(カメラマンの撮影費、撮影のディレクション費、備品購入やモデルの費用等)が発生するため、クライアントにはどのような効果があるのかをしっかり説明し、予算確保をお願いしています。

また、通常は制作フェーズ(デザイン・構築)の前に写真撮影を行います。スケジュール上、仮画像で制作を進めざるを得ない場合もありますが、撮影後の写真によって別のデザインが適することもあるため、可能な限り制作フェーズ前を基本としています。

Webサイトの公開までのスケジュールを立てる際は、撮影日はもちろん、写真の現像・データ納品までの日程をカメラマンに確認しておく必要があります。

撮影日までにやること

撮影が決まったら、撮影日までに事前の準備を行っていきます。

カメラマンの決定

人物撮影、商品撮影、建築写真などのシーン別、仕上がりの写真のトーンなど総合的に判断して、依頼するカメラマンを選定します。デザインイメージをあらかじめ想定して、最適な写真を撮ってもらえるカメラマンを選ぶことが重要になります。

初めて依頼する場合も、ポートフォリオなどをしっかり確認し、プロジェクトの概要を説明した上で、制作側とカメラマン側で撮影イメージ・意識を共有できるように。その後、撮影可能な日をいくつか伺い、クライアント側と撮影日を決めていきます。

撮影イメージリスト

サイト構成・ワイヤーフレームにそって、必要な撮影イメージをリスト化。制作サイドはもちろん、クライアントやカメラマンにも事前共有ができるため、撮り漏れを防いだり、撮影機材や備品などの準備にも役立ちます。

集めるサンプルは、写真のトーンについてはWebデザインのリンク集などから集め、構図やシーンの説明で問題ないものは、ストックフォトから集めることが多いです。

ディレクターが撮影リストを作る場合も担当のデザイナーともリストを共有し、ズレや漏れがないかを確認します。

香盤表の作成

数年前に動画撮影に同行した際に利用し、それ以来Webの撮影の際にも応用して使うようになりました。Web制作がメインの業態だとなじみが薄いかもしれませんが、いわゆる撮影を円滑に行なうためのスケジュール表です。

自然光での撮影や太陽の位置に左右される撮影などはあらかじめカメラマンと相談してタイムスケジュールを決め、クライアントとも撮影可能な時間帯や場所の確保など相談して香盤表を埋めていきます。

クライアント側でご用意いただく場合も「撮影時間が確保できるか?」「不足している情報がないか?」「シーンチェンジ・移動の時間」などチェックした上で、精度を上げた香盤表に仕上げることを心がけています。

ロケハン

撮影の提案時に必要なロケハンしている場合は除きますが、可能な場合は撮影カット・香盤表にそってロケハンを行います。

スマートフォンなどで各シーンを撮影したり、撮影の妨げになるものがあればクライアントに説明して撮影日までに対応してもらいます。撮影当日の場合、車の移動や装飾物・障害物の移動は難しい場合もあるため、なるべくロケハンの際に解決できるようにしています。

立ち会いの際に気をつけていること

自社にカメラマンが所属している・運用案件で撮影するカットがカメラマンと共有できているものを除き、撮影には必ず立ち会います。カメラマン側で判断が付かない状況やイメージ通りの写真が撮れているかの確認も必要です。

またカメラマンにアシスタントが同行しない場合、ディレクターがアシスタント役としての道具持ち、レフ板係などを行うことも多いです。

通常、香盤表・撮影イメージにそって撮影しますが、それにはない別の角度やシーンで良いものが撮れないかを自分の目で確かめるようにしています。時間的な制約で追加カットが難しいこともありますが、クライアント・カメラマンと相談して、可能な限り撮影してもらうようにしています。

ただし別カットが、レンズ交換、三脚や照明のセットを伴う場合は、同じレンズで追加撮影するより時間がかかるため、基本的には同じ焦点距離で撮れるものを優先し、交換・セットが伴う場合は時間的や後回しで対応します。

最後に

以前自分自身がカメラに触れていた経験がディレクションにも生きているため、ディレクション側もある程度のカメラの知識が必要だと感じます。撮影データを見て、「思っていた仕上がりと違う」「撮影していないカットがあった」「写真は良いけど、Webでは使えない」などの事態が起きても、これはカメラマンの責任ではなく、すべてディレクション側の責任です。事前の準備(撮影イメージ・香盤表の共有)、撮影当日の立ち会いをしっかり行うことでそのような確率は下げることができます。

撮影はカメラマンの領域ととらえず、サイト構築のための重要な役割の一部として、細かなディレクションを行っていく必要があります。

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