「営業成績が上がらない」「新しいスタッフを採用しても、すぐに辞めてしまう…」
皆さんは仕事上の問題・課題に直面した時、どうやって対応していますか?
手当たり次第に改善策を試しては、なかなか効果が上がらないなあと感じてしまうこともあるのではないでしょうか。
そんな時は「問題解決」の手法に沿って対応していけば、解決の糸口が見えてくるかもしれません。
今回は数多くの専門書も出版されている「問題解決」について、なんとなく知っている方が実際に仕事で使えるように、具体例を使ってご紹介します。
問題解決の手法とは?
問題解決は
- 「現状を正確に理解し」
- 「問題の本当の原因を見極めて」
- 「効果的な打ち手を考えて」
- 「実行・効果を検証する」
という流れで行います。
簡単だと思われるかもしれませんが、この流れをしっかりと踏まえて行動することは意外と難しいもの。
私は以前、とあるホテルのフロントで仕事をしていました。
ホテルでは「お客様対応に追われてフロントにスタッフが全然いない!」「売店のイチオシ商品がまた欠品してる…」など問題の連続でした。
しかし、そんな時こそ問題解決の出番。実際、さまざまな場面でとても役に立ちました。
では具体的にどうやって考え実行していくのか。
今回は、ある架空のホテルが抱える「毎年、冬の売上が他のシーズンに比べて極めて低い」という問題を例に考えてみましょう。
<架空のホテルAについて>
九州の有名な避暑地にあるホテルAは、春から夏、秋の紅葉シーズンまでは宿泊の予約がたくさん入る一方、冬に入ると売上は夏のピーク時の30%ほどに。
確かに冬はオフシーズンとはいえ、地元のスタッフによると、冬だからこそ楽しめる美しい景色やアクティビティもあるようです。
そこで、「冬ならではの見どころや楽しみ方をブログで紹介し、予約獲得につなげよう!」と考えました。
はたしてその打ち手はどのくらい効果を生むのでしょうか?
問題解決の第一歩目は、問題を定義すること
問題解決の第一歩は、「問題」を定義することです。そして、「問題」とは、理想と現状のギャップです。
例えば「冬の売り上げ目標が月あたり○円だが、現状だと●円の見込みで▲円の差がある」や、「月平均で全客室の○%の予約を獲得したいが、現状だと●%で▲%の開きがある」などになります。
推測ではなく、客観的に現状を理解することが問題解決の最初の一歩となります。
「なぜ?」を繰り返して、そもそもの原因を洗い出す
問題が明らかになったら、今度はその問題が起きている原因を分析します。ここで便利なツールが「ロジックツリー」です。
ロジックツリーとは問題の原因や解決策を「漏れなくダブりなく」論理的に分解していき、考えを深めるためのツールです。
今回は左側に主要な課題を置き、「なぜ?」を繰り返して徐々に具体的な要因に分解していきます。
ロジックツリーを使って「なぜこのホテルは冬の売り上げが低いのか?」を分析した結果が以下の図です。
ここでのポイントは「漏れなくダブりなく」考えることです。
ホテルの売上は、ざっくりと「(顧客単価)×(宿泊人数)」で計算できます。
そこで「売上が低い」ことの原因として「予約の件数が少ないからだ」だけでなく、「1件あたりの人数が少ないからでは?」「顧客単価が低いからでは?」と考えられるすべての原因を挙げ、「それはなぜか?」とさらに掘り下げていきます。
すると、「冬ならではの良さを周知できていないから、ブログで紹介しよう!」という打ち手は、「冬の見どころはあるのにお客様が知らないから、予約が入らない」ことが原因で売上が落ちている場合には有効ですが、その他に原因があるときには的外れになってしまうことがわかります。
ロジックツリーを使うことで、意外なところに本当の原因があることに気づくかもしれません。
ある程度分解できたら、今度はそれぞれに対して「本当にそうか?」を検証していき、「冬の売上が低い」ことの根本的な原因(真因)を見つけていきます。
まとめ
今回は問題解決について、問題を定義し真因を見つけるところまで解説しました。
問題解決では真因をつきとめることが何よりも大切です。
真因を間違えて捉えてしまっては、せっかく打ち手を実行しても、結局問題は解決されないからです。
次回はいよいよ「打ち手の決定・実行」編です。
参考文献
・渡辺健介『世界一やさしい問題解決の授業』ダイヤモンド・グラフィック社 2007年
・斎藤嘉則『新板 問題解決プロフェッショナル―思考と技術』ダイヤモンド社 2010年